水銀が他の金属と混ざってアマルガムという合金(混合物)を作る性質は、現象的には水銀という液体に金属が溶けていくとみることができます。

奈良の大仏は金色!

現代の「大仏さま」は銅の錆で緑青色ですが、大仏殿が完成した758年には、金メッキされ金色に輝いていました(図14)。金を水銀に溶かしてアマルガムを作り、それを仏像の表面に塗ります。その後、周囲で火をたいて水銀を蒸発させるという方法で金メッキを行ったといわれています。大仏の開眼は752年ですので、この金メッキ作業は大仏殿建設と同時に行われたことになります。作業に関わった人々は高濃度の「水銀蒸気」にさらされ、とても危険な状態だったと思われます。

図14 黄金色に輝く東大寺大仏(想像)

歯の治療に使われたアマルガム

歯の治療では、いわゆる「銀歯」と呼ばれる金属の詰め物・かぶせ物が使われていました(図15)。銀歯は無機水銀、銀、スズなどでできている合金で、抗菌性があり、加工しやすく、歯の穴にぴったりと詰めることができます。治療費も安く済ませられるので、ごく一般的に歯の治療に使われていました。水銀の安全性を疑問視する声が上がり、2016年に保険適用外になり、治療の表舞台から姿を消しました。

図15 歯科用充填剤
出典:『不思議な水銀の話』(環境省)

ゴールドラッシュと水銀

鉱石に含まれる金・銀などの金属は、水銀と混ぜ合わせると水銀アマルガムを作り、そのアマルガムを強く熱することで水銀が蒸発し、金や銀などの金属だけが残ります。この方法は、高度な装置や技術を必要としないので1800年以降のアメリカ大陸で盛んに用いられました。カリフォルニアのゴールドラッシュでも、この方法が金の採掘に使われていました。
現在でも、世界で最も多い水銀の用途はこうした金の採掘・精錬のときの使用であり、この方法による大量の水銀蒸気の大気中への放出が大きな問題となっています。 


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